魔術道具の準備 - 魔方陣(マジック・スクエア)

『第三の書』にある「魔方陣」(以降「スクエア(Square)」とする)を製作します。これらは祈りの作業に入るに先立って用意しておきます。6箇月の聖別を終え、神と聖なる守護天使との助力を得てからこれらの「スクエア」に対し悪霊達を従わせる事になります。悪霊達を従えさせる事が出来た後は、彼らに命令する際に利用する事も可能です。この時点ではただの紙でしかありません。

『第三の書』の「スクエア」にはメイザースの注釈が付けられています。注釈には (a) ~ (e) までの項目があり、それぞれには以下のような事が書かれています。

  • (a) それらの図表の力が何によるものなのか
  • (b) 願望を実行する特別な監督者である悪霊に関する下位王子の名前
  • (c) 使い魔によって行う事の出来る範囲の問題であるか如何か
  • (d) 他の箇所で(即ち、『第三の書』の「スクエア」中心に書かれている箇所以外で)「アブラハム」によって与えられた特別な指示の要約
  • (e) 「スクエア」にある名前の意味。可能な限りの、そして必要であると思われる意見の付け加え

この内、(a) ~ (d) は各纏まり(下記の [ 01 ] ~ [ 30 ] )に対するものなので、それぞれの纏まり(下記の [ 01 ] ~ [ 30 ] )のところで触れる事にしました。

(e) は個別の「スクエア」に対するものなので、各「スクエア」のページの「NOTE」で触れる事にしました。

製作方法は「未使用の羊皮紙」に書き写すだけです。完成した「スクエア」は使用する(悪魔を召喚(喚起)し、見せ、誓わせる)時まで「祭壇」の中に仕舞っておくようにします。

次に、術者が天使を召喚する際に被る「ベール」を製作しておきます。作り方は、黒い絹を用意し、それに「ウリエル」の「スクエア」を描き記すだけです。(ここでは「依童」に頼る事なく作業を進めて行く積もりですが、もし「依童」を必要とするのであれば「依童」用の「ベール」も作らなければなりません。「依童」用は白い絹に「アダム」の「スクエア」を描いたものとなります。同様に天使を召喚する際に身に着けさせます。)

これらについても衣服や「法衣」などと同様に「祭壇」の中に仕舞っておきます。

― NOTE 1 ―

これらの「スクエア」はその様式によって4つに分類されています。「アクロスティック(Acrostic)」「ノーモン(Gnomon)」「ボーダー(Border)」「不規則型」の4つです。

― NOTE 2 ―

「未使用の羊皮紙」を使用するように指定しましたが、実際にはどのような紙であっても良いとされています。ペン、インクについても同様となっています(即ち、どのようなものでも良いと言う事です)。

― NOTE 3 ―

「スクエア」に対するメイザースの注釈について

『術師アブラメリンの聖なる魔術書』の『第二の書』の終わりには「アブラハム」がこれらの(『第三の書』にある)「スクエア」について書いたものが載っていますが、それを短く纏めたものが(『第三の書』の)メイザースの注釈であり、ここではそちらを採用する事にしたため「アブラハム」の方は省く事にしました。(時間が出来たら翻訳して、付け加えるかも知れませんが…。)

日本語訳でのメイザースの注釈について

因みに、この『第二の書』の終わりにある「アブラハム」が「スクエア」について書いたのものは手元の日本語訳本でもそれが書かれるべき場所(元の本と同一の箇所)では扱われていません。「スクエア」が誰の力によって明示されるか、どの悪魔によるものか、使い魔によって実行出来るかなどについてはメイザースの注釈の (a) ~ (c) によってほぼ捉える事が出来るため必要ないとの判断からではないかと思います。

また、(『第三の書』の)メイザースの注釈の (d) に対しては、「『第二の書』(或は『第三の書』の終わり)に書かれていて重要と思えるが、メイザースが (d) で扱わずに済ませたもの」を、この (d) の箇所に(メイザースが書いたものの他に)付け加えています。『第二の書』にあるものと、メイザースがそれを纏めた (d) には当然、重複する箇所が多いので、『第二の書』の時点では扱わないようにし、(d) の方で足りない部分(『第二の書』(或は『第三の書』の終わり)に書かれていて重要と思えるが、メイザースが扱わなかった部分)をメイザースのその注釈に書き加えると言う形を採ったものと思われます。

(e) については何故か全て切り落とされています。ここには図表の中の文字に誤りがあると思われるものや、図表の効果について書かれた説明記述が間違っていると思われるものについてメイザースが指摘している場合があるため、幾分重要かと思うのですが…。例えば…「幻影を見るための図表」を用いて「大火」を見るのであれば、当然、「大火」と説明が書かれているものを使用する事になるかと思います。しかし、実際にその図表に書かれているのは「雪」であり、そのため、この「大火」と言う説明は間違いである可能性が高く、本当は「雪」の幻影を見るための図表ではないかと言う事になります。この場合、術者は「雪」を見る事はあっても、当初の目的であった「大火」を見る事は出来ないでしょう。そう言った間違いを防ぐ意味も含めて、メイザースは説明の間違いを気が付いた範囲で注釈の (e) に付け加えているのだろうと思いますが、しかし、先にも書いたように日本語訳本ではこの部分を全て切り落としています。この部分が書かれていないと言う事は、術者が図表を正確に使用出来ないと言う事でもあります。(e) を削った代わりに何処かをそれに合わせ修正しているのであれば問題ないのでしょうが…そうでもないようです…。個人的には、結構、重要な箇所だと思うのですが…。

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