祈りの6箇月 - 最初の2箇月

初日を迎える前までに作業場所や「祭壇」、使用する道具は全て揃えておくようにします。全てが揃ったら愈々「祈りの6箇月間」に入ります。

― 最初の2箇月 ―

早朝、身体を清め、清潔な衣服(通常の衣服)を身に着け、日の出の15分前までに祈りの部屋に入ります。部屋に入ったら窓を開け、祭壇の前に跪きます。そして窓の方へと顔を向け、心から、力強く、主の名を呼び、幼少から現在まで自分に叶え与えられた彼(神)の全ての栄光に感謝します。それから卑下し、彼に対して謙虚にし、全ての罪を完全に告白し、自ら許しを請い、祈ります。その後、彼が現れた時に(術者を)哀れみ、厭わずに、彼の恩寵を与えてくれるように、そして(術者が)間違い、無知、人間の脆さを通して罪へと落ちないために先導者として術者に仕え、術者を常に彼(神)の正しき道と意志に向かって導く聖なる天使を送り与えてくれるようにと懇願します。

ここで行われる祈りにはこれと言った決まり文句はありません。先に書いた事を踏まえた上で各人が自分で考えるようにしましょう。難しく考える事はありません。自分の言葉で、思ったように心の底から祈れば良いのです。また、祈りに関しては母国語、若しくは(それと同等の)完全に理解出来る言語のみを使用するようにします。これは6箇月の期間の全てについて言える事です。同様に、その後の天使との会話や、悪霊への命令なども全て理解出来る言葉を用いなければいけないとされています。

祈りを終えたら術者は窓を閉め部屋を出ます。そして夜になるまでこの部屋へは入らないようにし、日中は(出来れば)「寝室」の中に留まるようにします。術者は夜になってから再び「祈りの部屋」に入り、朝と同様の手順、要領で神への祈りを捧げます。この朝と夜の祈りは2箇月間、毎日行うものです。

夜の祈りの後、正餐を摂ります。夜以外も含め食事は祈りの後に行うようにします。術者は正餐の後に毎日2時間、『聖書』と他の神聖な本とを読み、神について十分知る事に努めます。全てが終わったら「寝室」で休み、一日を終えます。((道具のところでも書きましたが)「寝室」は予め綺麗にし、ベットには新しく綺麗なシーツを敷き、部屋には香水を振っておくようにします。)

以上の事を2箇月間、毎日行うようにします。

この他に、毎日ではありませんが行わなければいけない事があります。それは以下のような事です。

  • 「安息日」の前日(土曜日)に「寝室」のシーツとリネンを替える
  • 「安息日」の前日(土曜日)に「小礼拝堂(祈りの部屋)」の掃除を行う
  • 「安息日」の夜には着ている衣服の着替えを行う
  • 毎週土曜日は朝と夜の祈りの際に香を焚くようにする
  • 毎週土曜日(安息日の前日と同じ)に寝室に香水を振るようにする。

2つ目の掃除に関しては、「祈りの部屋」は神聖で穢れのない天使に捧げられる場所なので厳密に清潔さを保つようにします。

3つ目の着替えについては、即ち、同じ衣服を(「安息日」の夜から「安息日」の夜までの)1週間着ると言う事になります。(道具を紹介したところでも書きましたが、この衣服(通常の衣服)は替えも含めて2着用意しておくようにします。)

― NOTE 1 ―

日の出前に起きる事が出来ない事もあるかと思いますが、その場合は午前中に朝の祈りを行うようにすれば大丈夫だとされています。しかし、寝坊の原因が夜更かしであったり、朝早く起きたくない、まだ寝ていたいなどの類(怠惰)であったりした場合は許されませんので、そのような事がないように気を付けるようにします。

― NOTE 2 ―

「祈りの部屋」には、「6箇月の祈り」の期間、誰一人として入れないようにして下さい。

「寝室」には、結婚している場合は妻を入れても良いとされていますが、その女性が純潔で、汚れなく、月々の生理がない事が条件とされています。この条件に合わない妻は不純なため(現代に於いては女性蔑視ですが…)「寝室」に入れてはいけないと言う事のようです。犬、猫、その他の動物を小部屋(「寝室」)に入れて生活してはいけないともされています。動物についても女性と同じように不純だと考えられるためでしょう…。

― NOTE 3 ―

6箇月の間に病気になり「祈りの部屋」に入れなくなってしまった場合は(「寝室」に於いて)ベッドの中で神に健康を求める祈りを続け、捧げ物を行うようにします。彼(神)の叡智に触れ、働く事が出来る優れた効力を得る事が出来るとされています。

― NOTE 4 ―

ここでは天使の召喚の際に「依童」を使わない事を前提としていますので、術者はこれよりの6箇月の期間に於いて天使を見るための能力を身に付けておく必要があります。これは「魔術の基礎訓練」を参照して下さい。術者は期間中に時間を見付けここにある内容の習得を目指し、そして天使の召喚までには十分な能力を身に付けておくようにしましょう。これにより「依童」の助けがなくとも天使の召喚を行う事が可能になるかと思います。

― NOTE 5 ―

6箇月の期間中、悪魔が妨害や誘惑を企てて術者へと接触して来るかも知れませんが、術者は決してそれらに負けてはなりません。細心の注意を払い、少しでも怪しいと感じたら強い意志を以て退けるようにして下さい。この魔術は人との接触を絶ち、誰もいないところで孤独に習得を試みる事を理想としていますが、それは悪魔の企てを避けるための手段も兼ねての事ではないかと思われます。逆に、人間や、誘惑の多い都会は悪魔が術者へと近づき易い環境だと言えます。もし、術者が都会に暮らしながらもこの術の習得を目指すのであれば、人との接触を絶ち、悪魔の好むような行為を避け、悪魔の接近を許さない環境を自分で作り出す事を心掛けるべきかと思います。

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