XVIII. The Moon (月) ― トートタロット

トートタロット 大アルカナ ― XVIII. 月
[ XVIII. The Moon (月) ]
画像引用元 : U.S. GAMES SYSTEMS, INC. 「THOTH TAROT DECK」

十二宮の「双魚宮」に配属され、ヘブル文字の「クォフ(後頭部の意)」に対応します。

「双魚宮」は十二宮最後の宮であり、冬の最終段階(一年の夜明け前の大いなる暗闇)を表わします(最も夜が長い時期)。それは復活の入り口(そこから夜が短くなって行く時期でもある)とも呼ばれます。このカードは暗闇に隠された汚れた恐怖の階段を象徴しています。

このカードは真夜中を表わしています。

カードの最下部には、嫌悪の図表に染められた水底に聖なる甲虫、エジプトのケフラが下顎に太陽の円盤を挟んでいます。この甲虫の力によって、「太陽」は「夜」の闇と「冬」の厳寒の中に留まらされています。ケフラは「真夜中の太陽」の象徴であり、夜の海を旅する者です。

水面の上方には血の色が混じったリンパ液の流が見えます。この血の源流は2つの荒涼とした山の間の裂け目にあります。

不純物を含んだ血が9滴、ヘブル文字の「ヨッド(I)」の字形の雫となって「月」から流れ、滴り落ちています。

「月」は最も普遍的な惑星とされ、また、最高と最低を同時に現す事が出来る惑星でもあります。高度な位相では「II. 女司祭」のように人間と神の連結役を果たしますが、このカードでは「月」の女神の最低の地位にあたる化身として、「ネツァク」の大地の領分と、物質の勝れた諸形態の頂点である「マルクト」を繫いでいます。

この「月」は欠け行く「月」であり、それは魔術(魔女術)や忌まわしい行いの「月」です。「月」は毒を流したような闇を持ちますが、それは光が復活する素地でもあります。

丘の上には名伏しがたい謎や戦慄、恐怖が黒い塔となって立っています。偏見、迷信、旧習、何代にも渡る憎悪などが入り混じり、目の前の「月」の表面を暗くしています。「月」の魅惑的で幻影的な光は暗闇よりも恐ろしく、この「小径(無秩序な荒野)」を歩くには途方もない勇気を必要とします。

境界線の両脇に立つのは「アヌビス : Anubis」です。彼は薄明の見張り人、入り口に立つ神、道筋に立つ一対のジャッカル神「ケム : Khem(黒の意)」で表わされています。

その足元にはジャッカルそのものが道を見張っています。このジャッカルは神を見た事もない者や、神の名を知らなかった者に襲い掛かり、その死体を貪り喰おうと待ち構えています。

ここは生の入り口でもあり、死の入り口でもあります。全てが曖昧であり、明確さがなく、神秘的で陶酔的です。ここで起こる酩酊は有害な薬物による恐ろしい狂気だと言えます。それはこの「月」の毒気によって精神が崩壊し、その後に起こる酔ったような感覚です。「月」の力は我々の心の「暗黒面」を揺さぶり、陰気で不毛な酔いを齎します。

[ トートタロット 大アルカナ : XVIII. 月 ]
番号 18
称号
生命の樹の小径 7 - 10(ネツァク - マルクト)
対応ヘブル文字 クォフ(数価 100 : 配属 双魚宮 : 意味 後頭部)
777 キー スケール 29
カードの意味 幻影、欺瞞、当惑、ヒステリー、狂気、虚偽、誤謬、危機、「暁闇」、重大変化の瀬戸際。
カウンター
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