XIII. Death (死) ― トートタロット
十二宮の「天蠍宮」に配属され、ヘブル語の「ヌン(魚の意)」に対応します。
「天蠍宮」は「火星」を支配惑星に持つ宮であり、「獅子宮」と並び、黄道十二宮中最も力ある宮の1つです。
「ヌン」は水面下の生命の象徴、水中で動く生命体を表わしています。
錬金術的には「(再生の前段階としての)腐敗」作用を説明するカードです。ここでの「腐敗」とは、「オルフェウス(Orpheus)の卵」に潜伏していた種が、最終形態に成長するまでの一連の化学変化を示しています。
これは形式的に3部分に分ける事が出来ます。そしてそれらは低い部分においては蠍であり、中位では蛇、高い部分では鷲であると言えます。
蠍は火に囲まれたり、窮地に陥ると自身を刺したりして自殺します。環境の重圧が耐え難くなり、圧迫を受け要素が変化する様は最も低級な「腐敗」であるとされます。
蛇は生と死を表わします。蛇の波の様な進み方は生と死の繰り返しであるとされ、その事から人生の律動的なうねりの暗示とされています。蛇は男性の精力の象徴(男根)でもあります。
鷲は個体物質より上方への高揚を意味しています。
魚(「ヌン」)と蛇は同一であり、「魚 = 蠍 = 蛇」であると言えます。一方で魚は、膀胱、子宮、「キリスト : Christ」でもあります。
魚はその冷血性、敏捷性、明敏さから「水星」に捧げられます。性的な象徴でもあります。「水星」は死者の案内人(「ヘルメス : Hermes」「メルクリウス : Mercurius」)としての、また、常に弾力的な自然の元素としての働きを持っています。
カードそのものは死の踊りを表わしています。
カードには大鎌を持つ骸骨が描かれています。
骸骨と大鎌は共に「土星」の象徴です。「土星」は「天蠍宮」と直接の関係はないように思えますが、この惑星は存在物の本質を成す構造を表わすため、物事の基本的特質であり、その特質は滅失する事がないとされています(即ち、永続性を持つ)。
骸骨の頭には「オシリス : Osiris」の王冠があります。
骸骨の奥には彼が踊り、鎌を振る事によって発生した泡があり、その中には新しく生まれ行く姿が見られます。
このカードは普遍性を持ち、最も秘密の形態をとった宇宙のエネルギーの大切な要だと言えます。
彼の背後に見える鷲は不変の象徴です。
このカードは「XI. 欲望」の完結であり、両者は「XII. 吊るし人」によって溶解され、結び付けられていると言えます。
番号 | 13 |
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称号 | 死 |
生命の樹の小径 | 6 - 7(ティファレト - ネツァク) |
対応ヘブル文字 | ヌン(数価 50(700) : 配属 天蠍宮 : 意味 魚) |
777 キー スケール | 24 |
カードの意味 | 変形、変化、自発性の有無を問わず存在する諸条件の論理的発展。それは恐らくは突然の予期されないもの。明白な死、または破壊。しかしその様な解釈は幻想だと言える。 |