IX. The Hermit (隠者) ― トートタロット
十二宮の「処女宮」に配属され、ヘブル文字の「ヨッド(手の意)」に対応します。「処女宮」の支配(「盛」となる)惑星は「水星」であり、更に「水星」はこの宮で「興」となります。
このカードの象徴しているもので最も大きなものは、(「処女宮」と関係している事からも)最も高度な意味における「肥沃」です。
「隠者」の手はカードの中央に描かれています。手は(人間の)創造の中心となるもの(意志を行う(直接的に代行する)もの)です。
「ヨッド」は [ IHVH ] の最初の文字( [ I ] )であり、父の象徴です。そして、父は智慧であり、「水星」の最高の姿、全世界の創造者であるロゴスでもあり、肉体生活では精子あると言えます。「水星」には宇宙の至るとこに行き渡る光が隠されています。
「処女宮」は大地の印であり、特に穀物を意味します。それはカードの背景に見える小麦畑でも表わされています。
また、大地である「処女宮」は、受容力を持ち、女性的であり、「地下界」の覆いでもあります。
そして、「隠者」は「サイコポンパス : Psychopompus」(死後に魂を導く者「メルクリウス : Mercurius」「ヘルメス : Hermes」「水星」)であり、霊魂をその「地下界」へと導く案内役です。
彼の傍らにある蛇の棒は「深淵」より延び出しています。これは魂を低次の領域より導き出してくれる「カドゥケス : Caduceus(メルクリウスの杖)」(生命(男根)の象徴)であり、有毒になった精子であり、胎児でもあります。
彼の後ろには地獄の番犬「ケルベロス : Cerberos」が付き従っているのが見えます。
「隠者」の手に持たれた神聖なる智恵のランプには「火」の王の印形に似せて描かれた太陽(「ヨッド」、秘密の火)が見えます。「ヨッド」は秘密の「火」です。
彼は緑色の「オルフェウス(Orpheus)の卵」をじっと見ているかのようです。
卵(宇宙)には「水星」の玉虫色のように多彩な色を持った蛇(生命)が巻き付いています。これは彼が宇宙の生命である光の創造的、流動的「精」である事によります。
このカードは不可解な動きの多い生命の神秘全般を表わしています。即ち、「ヨッド = 男根 = 精子 = 手 = ロゴス = 処女」です。
番号 | 9 |
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称号 | 隠者 |
生命の樹の小径 | 4 - 6(ケセド - ティファレト) |
対応ヘブル文字 | ヨッド(数価 10 : 配属 処女宮 : 意味 手) |
777 キー スケール | 20 |
カードの意味 | 内部からの啓発、内部からの神秘的な行動。適宜に得られる実際的な計画。現在の出来事への関係を絶つ事。 |