十二宮の「双子宮」に配属され、ヘブル文字の「ザイン(剣の意)」に対応します。

「双子宮」は「水星」の支配を受ける宮です。このカードは(「水星」の特徴でもある)二重性を持ち、その意味も多岐に渡っているために、曖昧で理解し難いカードの1つであると言えます。しかしながら属性の本質は単純なものです。

このカードは世界の創造、そして(剣の持つ性質である)「分析」と「統合」を表わしています。

カードの上部には剣のアーチが見えます。剣は切り分けるための道具であり、「分析」を表わしています。

その下には2人の人物がいて、王家の「結婚」が執り行われています(「統合」の象徴)。

中央に立つ、フードを被った人物は「IX. 隠者」の別の姿であり、「隠者」は「メルクリウス : Mercurius」の別の姿でもあります。

彼は「入場者のサイン(合図)」をとっています。

彼の腕の周りにあるのは巻物であり、それは言葉の象徴です。

彼はその下で行われている「結婚」の祝福をしています。この「結婚」は2つの相対するもの(「対立するもの」)の統合、即ち、「錬金術の結婚」を表わしています。

彼の上方に見えるのは「イヴ : Eve」と「リリス : Lilith」と「キューピッド : Cupid」です。これらは従来のカードに見られた由来や過去を継承している事を表わしています。

「キューピッド」はフードを被った男に降りる霊感の象徴でもあります。

「キューピッド」は黄金色の翼で宙に留まり、下へと向かって弓を構えています。

「キューピッド」の矢には「テレマ(意志)」の語、法の言葉が刻まれています。この矢の柄は「意志の量」を表わしています。彼の持つ矢は錬金術に必要な知恵を表わしています。また、矢は方向の象徴でもあります。

「キューピッド」の持つ黄金色の矢筒には、見え難いかもしれませんが、「テレマ」と刻まれています。そして、目隠しをし、弓を構えた姿で描かれています。これは誰とでも一体になりたいと言う、分別のある(同時に無意識の)意志の暗示であると言えます。

この「キューピッド」の母は「アフロディテ : Aphrodite」であり、父は「ヘルメス : Hermes」であると思われます。彼は(父の子供時代に似て)、気まぐれ、無責任、悪戯好きと言う性質を持ちます。

中央には金の王冠を被った肌の黒い男性(王)と、銀の王冠を被った肌の白い女性(女王)とがいます。

男性は赤い獅子を従え、女性は白い鷲を従えています。王は聖なる槍を持ち、女王は聖杯を持っています。これは自然の男女の原理を表わしています。後ろにいるフードを被った人物はその根源であり、男女はそこより発生した「対立するもの」であると言えます。即ち、男と女の対立とは、金と銀、太陽と月、火と水…などの関係にあるものです。王と女王は手を取り合っています。これは「結婚」の合意を意味しています。

手前には2人の子供がいます。肌の白い子供は聖杯(「水」)を握り、逆の手には薔薇を持っています。黒い肌の子供は槍(「火」)を握り、逆の手にはそれと同じ意味の棍棒を持っています。彼らは後ろの2人とは左右が異なる配置となっています。

カードの下部には翼の付いた「オルフェウス(Orpheus)の卵」があります。これは「結婚」による産物であり、智恵である卵は男女の原理に基づいて生じる生命の本質を象徴しています。そして、それは王のローブにある蛇と、女王のマントにある蜜蜂にも見られます。

「卵」の色は灰色であり、これは「生命の樹」の3つ至高の「セフィラ」(「ケテル(白)」「コクマー(黒)」「ビナー(灰色)」)の協力を意味します。

蛇の色、紫は「女王の色階」においては「水星」に該当します。これは自然の中に現れた神の影響を表わします。

翼の色、赤は「王の色階」においては偉大なる母、「ビナー」の色です。

このカードは神の業が始まるのに必要な均衡を完全な形で示したものだと言えます。しかし、それは生命の本質にまでは至っていないようです。

このカードは「XIV 技」のカードと対を成すカードです。