十二宮の「白羊宮」に配属され、ヘブル文字の「ツァダイ(釣り針の意)」に対応します。「白羊宮」は「火星」を支配惑星に持つ宮です。

このカードに「ツァダイ」が対応しているのは、クロウリーによって「星」と「皇帝」との間でのヘブル文字への対応が交換されたためであり、従来、対応していたのはヘブル文字の「ヘー」でした。

「皇帝」は王冠をかぶり、礼服を身に着け、玉座に腰をかけています。

王冠にある宝石はルビーかと思われます。

右手に雄羊の頭を飾りに持った王笏を、左手にマルタ十字の付いた宝珠を持っています。

「皇帝」の身に着けている服には蜜蜂が見えます。

玉座の柱頭はヒマラヤの野生の雄羊の頭になっています。この付き従う雄羊は「創造的支配力」の象徴です。

「皇帝」の足元には座り込んでいる子羊、そして旗があります。

これら、雄羊は野生の孤高と勇気を、子羊は臆病さと素直さを象徴し、それらを有するこのカードは「支配」を象徴していると言えます。本来は勇敢である雄羊が「皇帝」に付き従っている事からもそれは伺えます。

彼は錬金術で重要な三要素(「塩」「硫黄」「水銀」)の中の「硫黄」を表わしています。そして、彼は錬金術で用いる「硫黄」の記号(上が三角で下が十字の形)を示すかの様に、両腕と頭で三角形を、両足で十字を形成しています。「硫黄」は男性的であり、燃えるような宇宙のエネルギー、敏捷で創造的なエネルギー、あらゆる生物の根源です。「皇帝」の持つ力は普遍化された「父」の力です。

このカードの本質は突然で一時的な激しい活動です。カードが「深淵」の下に位置している事から見ても無限の力ではない事が分かります。

彼のエネルギーは成功を齎し統治を完了させます。

彼の足元には、真紅の円盤を頭上に頂く双頭の鷲が描かれた盾が置かれています。これは錬金術師の赤の色合い、「金」の性質を表わしています。

「皇帝」の頭上から差す光は、彼の権威が「コクマー」「創造の智慧」「言葉」に由来し、「ティファレト」、組織された人間に及ぶ事を表わします。(「皇帝」が「コクマー」と「ティファレト」との間にあるかのような一文ですが、「皇帝」が「生命の樹」に於いて実際に配置される「小径」は「ネツァク - イェソド」の「小径」です。これは「星」との交換によります。)

床にはアイリスが描かれています。

「皇帝」の両側にはそれぞれ燃える「太陽」が、そして後ろには昇り行く大きな「太陽」が見て取れます。

このカードは「III 女帝」と対になっているカードであり、「女帝」と対照的になっている事が各所に見られます。