作業の流れと簡単な説明

実際の作業に入る前に、この後のここでの全体の流れを簡単に説明しておきます。

  1. 召喚(喚起)対象となる「ソロモンの72の悪魔」の紹介
  2. 魔術的作業の前準備を行う
  3. 汎用的な魔術道具を準備する
  4. 作業場を決め、「魔法円」「ソロモンの魔法三角形」を製作する
  5. 選んだ悪魔の「シジル(印形)」を製作する
  6. 「ソロモンの六芒星」「ソロモンの五芒星」などを製作する
  7. 召喚儀式を実行する
    1. 道具の準備と配置とを行い、装備を整える
    2. 「魔法円」に入り「祓い」と「予備的召喚」とを行う
    3. 「悪魔の呼び出し」を行う
    4. 「悪魔への命令」を行う
    5. 「悪魔の退去」を行う
    6. 悪魔を退去させた後の場に対し「祓い」を行う

大体このような感じなのですが、これでは大雑把過ぎて初めての方には分かり難いかと思いますので、以下ではもう少し説明を付け加えようかと思います。

1. 召喚(喚起)対象となる「72の悪魔」の紹介

次の工程では、召喚(喚起)対象となる「72の悪魔」の紹介を行っています。自分の願望に合った悪魔を見付けるのに利用して下さい。どの悪魔にするかはここで直ぐに決める必要はありませんが、早い段階で目的と、呼び出したい悪魔とを決めておいた方がこの後の作業も進め易いかと思います。

呼び出したい悪魔については後で「Sigil(シジル)」を製作する事になります。ここで言う「シジル(印形)」とは、金属にその悪魔固有の紋章を刻み込んだものであり、目的の悪魔を呼び出すのに必要なものです。

2. 魔術的作業の前準備を行う

魔術的作業に入る前に先ず術者自身の身を清め、ローブなどの衣服を纏い、身体を整えます。この前準備は魔術的作業を行なうための最初の作業となります。特に召喚(喚起)儀式実行の前にはしっかりと行っておくべきかと思います。(ここで言う魔術的作業には召喚(喚起)儀式は勿論の事、魔術道具の製作や「聖別」作業、「魔法円」の製作などと言った事も含まれます。)

3. 汎用的な魔術道具を準備する

儀式に用いる汎用的な魔術道具の製作を行います。[ Wand(棒、杖) ] や [ Sword(剣) ] などと言ったものから、必要に応じて「蝋燭」や「香」なども用意します。既に魔術道具が揃っている場合は、この項は飛ばして下さい。

4. 作業場を決め、「魔法円」「ソロモンの魔法三角形」を製作する

「魔法円」「ソロモンの魔法三角形」を作って行きます。

場所が決まっていない場合は、先ず場所を決めます。(専用の場所があってそこを使うのであれば、これは必要ありません。)作業に入る前にその場所に対して「追儺の儀礼」を行い場を「祓い」ます。この「追儺の儀礼」には通常、[ The Lesser Banishing Ritual of the Pentagram(五芒星の小追儺儀礼) ] を用います。(「五芒星の小追儺儀礼」については「魔術の基礎儀礼 : 五芒星の小儀礼」を参照して下さい。)

その後、悪魔を召喚(喚起)をするための [ The Magical Circle(魔法円) ] と [ The Magical Triangle of Solomon(ソロモンの魔法三角形) ] を製作します。既に [ 魔法円 ] と [ 魔法三角形 ] との用意が出来ている場合はこの項は飛ばして下さい。

「魔法円」は召喚(喚起)者を悪魔より守るものであり、「魔法三角形」は呼び出した悪魔を拘束するものです。召喚(喚起)者は「魔法円」の中に入り、「魔法三角形」へと悪魔を呼び出し、拘束し、命令する事になります。

(この後も使用する道具の製作が続きますが、ここでの「魔法円」「魔法三角形」も含め、この辺りの順序は行う者の自由が利くところです。)

5. 選んだ悪魔の「シジル(印形)」を製作する

「ソロモンの72の悪魔」の中から自分の願望を元に呼び出したい悪魔を選びます。呼び出す悪魔が決まったら、その悪魔の紋章をその悪魔に対応した金属に掘り込み「シジル(印形)」を製作します。(正確には「シジル」とは悪魔の紋章自体の呼び名であり、そのため実際に製作するのは「シジルを刻んだ金属」と言う事になります。しかし、ここではその「シジルを刻んだ金属」の事を単に「シジル」と呼んで扱う事にしました。これは「ゲーティア」の文の中でも「シジルを刻んだ金属」の事を指して単に「シジル」と呼んでいる事から、それに従ったものです。)

この「シジル」は対象の悪魔を呼び出すために使用するものであり、召喚実行中は胸に下げておきます。

6. 「ソロモンの六芒星」「ソロモンの五芒星」などを製作する

「シジル」以外の魔術道具を製作して行きます。製作する魔術道具は以下のようになります。

  • [ The Hexagram of Solomon(ソロモンの六芒星) ]
  • [ The Pentagram of Solomon(ソロモンの五芒星) ]
  • [ The Magic Ring or Disc of Solomon(ソロモンの魔法の指輪、またはディスク) ]
  • [ The Vessel of Brass(真鍮の容器) ]
  • [ The Secret Seal of Solomon(ソロモンの秘密の紋章) ]

これらは悪魔を従順にさせるためや、術者の身を守るため、悪魔を封じ込めるためなどに使われます。(今回、ここで紹介する召喚術(喚起術)では「真鍮の容器」と「ソロモンの秘密の紋章」とは使用しません。そのため、それらについては、どのようなものかと言った事は紹介しますが、実際には製作する必要はありません。)

7. 召喚(喚起)儀式を実行する

準備が終わったら召喚(喚起)儀式に入ります。以下は召喚(喚起)儀式の手順です。

1) 道具の準備と配置とを行い、装備を整える

全ての準備が終わったら召喚儀式の実行に入りますが、この日まだ身を清めていなければ最初に [ 2. ] にある身の「清め」と衣服の「聖別」を行います。「シジル(印形)」や魔術道具の装備、配置などを行います。

2) 「魔法円」に入り、「祓い」と「予備的召喚」とを行う

「魔法円」に入り「追儺の儀礼」を行い、その後、「予備的召喚」を行います。これにより「魔法円」はより堅固なものとなり、術者の安全性は高まります。

ここでの「追儺の儀礼」には通常、「地の追儺の五芒星」による「五芒星の小追儺儀礼」を用います。

3) 「悪魔の呼び出し」を行う

召喚(喚起)用の呪文を唱えます。悪魔は早ければ最初の呪文でやって来ますが、遅ければ幾つもの呪文を唱える事になります。悪魔が召喚(喚起)出来た段階で次へと移ります。

4) 「悪魔への命令」を行う

呼び出しに成功した場合、その悪魔に命令を下します。中には言う事を聞かない悪魔もいます。命令するのは召喚(喚起)者が悪魔を服従させてからになります。

5) 「悪魔の退去」を行う

命令を了承させたら呪文を唱え悪魔を退去させます

この悪魔を退去させる作業は、悪魔の呼び出しに成功しても失敗しても必ず行うようにして下さい。

6) 悪魔を退去させた後の場に対し「祓い」を行う

悪魔が去った事を確認してから、場に対して「追儺の儀礼」(通常は「地の追儺の五芒星」による「五芒星の小追儺儀礼」)を行い、「魔法円」から出ます。召喚作業の終了です。


「悪魔の選択」「魔法円」「魔法三角」「シジル」「魔術道具」については、取り敢えず、順序をつけて書きましたが、実際にはどの順で行っても構いません。作業する際には、自身が行い易い順で行って下さい。

それぞれの詳しい部分は、後で改めて書きますので、ここでは全体の流をなんとなく把握出来る程度で構いません。

NOTE ― 1

以下、「召喚」「喚起」と言う言葉についての説明です。

このページに限らず、この「ゲーティア(ソロモン王の小さな鍵)」のカテゴリーに於いては、悪魔を外部の「三角形」へと呼び出す事に対して「召喚(invocation)」「召喚する(invoke)」と言う言葉を用いています。しかし、この「三角形」へと悪魔を呼び出す行為は、本来、「喚起(envocation)」「喚起する(envoke)」と言う言葉で表現されるべきものです。「召喚」とは対象を術者(の領域である「円環」内(術者自身))へと向かい「呼び込む」事を表わし、「喚起」とは対象を術者とは別の外部(ここで言えば「円環」の外の「三角形」)へと「呼び出す」事を表わします。当然、ここで扱っている「悪魔召喚」も正確には「悪魔喚起」と言う事になります。

ここでは一般的なイメージ(※1)に合わせるために、敢えて「喚起」に対して「召喚」と言う言葉を用いているのですが(※2)、読み進める上では、これが「喚起」を言い換えたものであると言う事を忘れないで下さい。以後も「悪魔」を「三角形」へと呼び出す事を「召喚」「召喚する」と表現して話を進めて行く事になります。

(※1 これは、自分自身が捉えている(積もりでいる)一般に対するイメージの事であり、この場合…大抵の人達は「喚起」も「召喚」も区別のないものとして単に「召喚」としか呼んでいないのではないか…と言う勝手な思い込み…の事を指しています。)

(※2 一般的なイメージに合わせて敢えて正しくない言葉の使い方をしているのは…言ってしまえば検索対策です…。一般的に使われていない言葉を使って書いても探してもえませんので…。書くからには多くの人に見てもらいたいと言う事で、敢えて一般的なイメージに合わせいます。)

(因みに、例えば、「五芒星の小追儺儀礼」の中に四方の大天使の「召喚」が含まれていますが、この場合の「召喚」は言葉の意味のままであって、「喚起」の置き換えではありません。ややこしくなるので本当は正しい表現を使った方が良いとは思うのですが…。)

間違えないための対策として(最初から正しく書けば良いだけなのですが…)「喚起」の場合は括弧を使ってその事を補足してあります。補足なしの「召喚」はそのままの「召喚」の意味であり、括弧を使って「喚起」と補足してある「召喚」は実際は「喚起」の事を指しています。

NOTE ― 2

作業日についての注意ですが、資料によると以下のようにあります。

"ソロモンが言うには、作業のための最も良い日は月齢が [ 2, 4, 6, 8, 10, 12, 14] の時であり、それ以外の日は有益ではないとされている。"

これは「作業は月が満ちていく期間の偶数月齢日に行え」と言う事です。

…しかし、資料に沿って書いてはみましたが、これは「(初心者を術の成功へと導くための)厳守事項」とまでは言えないような気がします。「厳守事項」だと1箇月に7日間しか作業に使えなくなります…。作業を行う上で「月の相」を考慮する事は損ではないので良いとは思うのですが、月齢の細かい指定にまで囚われる必要はないのではないかと思います(そもそも月齢を偶数日に限定した根拠が分かりません…)。例えば、「(新月と満月の日を除く)月が満ちていく期間に行う(月齢 [ 2~14 ] )などでも良いのではないでしょうか…。しかし、こう言った無責任且つ無保証な意見で作業者に予期せぬ事態が起きても困るので、作業者は出来るならば上記の「注意」を「積極的に守る」ようにして下さい(ある程度否定的な事を書いておきながら、結局、こうなります…)。そして、もし少しでも不安を感じるのであれば「厳守」するようにして下さい。

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