このカードは「水」のスートにおける「ビナー」に関係します。これは豊穣の女神「デーメーテール : Demeter」、または(「デーメーテール」の娘)「ペルセポネー : Persephone」のカードです。杯は柘榴の実(「ペルセポネー」の聖果、女性的象徴、多産の象徴)となっています。これらの杯は、「ビナー」の特徴を示す暗く穏やかな海から生じている個々の蓮から外へと溢れ出すほどの「水」が惜しみなく注がれています。この満ちた喜びの中に「愛の意志」の達成があります。それは肥沃の霊的な基盤(基礎)です。

このカードは「巨蟹宮」における「水星」に配属されます。これは上記のテーゼを更に押し進めます。「水星」はあらゆる神父の意志、あるいは言葉であり、その影響が十二宮の中で最も受容性の高いここ(「巨蟹宮」)へと降り掛かります。

同時に、この様な形態のエネルギーの結合には、幾分、神秘的な観念を招き入れる可能性もあります。「偉大なる海」「ビナー」は一面では「月(基盤、受容性、女性性、「水」と関連)」ですが、しかし他方では「土星(豊穣の神であり、死を齎す神、時(制限を与える)の神(子を飲み込む神でもある)、『ビナー』の持つ暗闇と関連)」でもあります。(「ビナー」は「コクマー」の力動的活動性を受容する「器」です。また、「(コクマーの)力」に(原初的な)「形」を付与する生命の基盤です。「形(時)」とは制限、限定であり、それに伴い「死」を生み出し、運命付けます。)そして、「水星」は「一にして全なる者(the All-One)」の言葉、意志であり(「水星」の「コクマー」的な面)、死者達の魂を導く存在でもあります。(「水星」は「メルクリウス : Mercurius」、即ち、神々の意志の伝達者にして冥界の案内人です。)このカードは非常に緻密な解釈を必要とします。柘榴は「ペルセポネー」が「プルート : Pluto」の王国(冥界)で食べた果物ですが、彼女はその(冥界の食べ物を口にすると戻る事が出来なくなってしまう)ために「プルート」によって下界に閉じ込められてしまいました。そしてその状態は、主神による最大の力が加えられた(「ゼウス」が(「ゼウス」の)母「レア」に頼み、仲裁が行われた)後でさえ続く(一年の内、三箇月は冥界で過ごさなければいけない)事になるのです。この教訓は、「人生における良い出来事(幸運)は、例え楽しくとも、疑われるべきである」と言う事です。