『アルマデル奥義書』について

現在、我々が目にする事が出来る『The Grimoire of Armadel(アルマデル奥義書)』は、パリのアルセナル図書館(Library of the Arsenal)に埋もれたいたフランス語、ラテン語の原文を(英語に)翻訳したものです。翻訳はメイザースによって成されましたが、その存命中には発刊されなかったと言います。

『アルマデル奥義書』の由来については不明な点が多く、それ故か中にはこれが昔から存在していたものではなく、メイザースが自身で考案したものではないかと疑う人もいたようです。この本に付けられている『アルマデル』と言う言葉についてもまた不明であり、それが人物を指す名前であるのか如何か、あるいは人物だとしても、そのような者が実際にいたのか如何か、その者がこの本の著者であるのか如何かなどと言った事に関しては未だに詳しく分かっていません。有名な魔術師が執筆する際に用いたペンネームなのではないか、または言葉そのものが [ Almadel ] 、あるいは [ Arbatel ] の転訛なのではないかと指摘する声もありますが、しかしそれらも仮説の域を出るものではなく、結局のところ謎は謎のままのようです…。

この本には「タリズマン」を作るための多数の「Sigil : シジル(印形)」、そしてその性質、「タリズマン」の製作方法などについてが書かれています。紹介されている「シジル」は「天使」のものだけでなく「悪魔」のものも含まれています。(中には製作、使用を行なわない方が良いとされているものまであります。)この本の全体の特徴として、古い魔術書(だとして、それ)にしては単純な面が多いと言う事が挙げられます。古い魔術書にありがちな…おどろおどろしさ、大きな手間が掛かる作業、長々とした呪文、複雑な儀式など…がありません。更に作業自体の安全性についても、他の(悪魔召喚(喚起)等を行う)魔術書と比べると非常に高いものであると考えられるため(勿論、危険であるとされている「シジル」を扱う場合を除いての事ですが…)、初心者でも扱い易い魔術であると言えるでしょう。

『アルマデル奥義書』については謎が多く、そのため正直言って書く事が余りありません。本の詳しい内容については先を読み進む中で紹介して行きますので、そちらに任せて、短いですがこの辺で切り上げ、次に進みます。

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