「水」の「風」の部分を表わします。弾性、揮発性、静水の平衡を表わす一方で、触媒の能力と蒸気のエネルギーを表わしています。「天秤宮」の21度～「天蠍宮」の20度を支配します。

彼は鎧にある程度覆われた戦士ですが、しかしそれは覆っていると言うよりは、寧ろ、(彼自身から)発生しているもののように思われます。彼の兜の頂には鷲が付いています。貝殻に似た彼の戦車もまた、鷲(「風」のケルブ)によって牽かれています。彼の翼は気体と言っても構わない程の希薄なものです。これは精神的な意味において理解される彼の揮発力と関係します。彼は右手に「水」の元素にとって神聖な蓮の花を持っています。そして彼の左手にあるのはとぐろを巻いた蛇が現れている杯です。(鷲、蛇に次ぐ)第三の動物象徴である蠍については(鷲、蛇、蠍は三位一体の「水」のケルブです)、このカードでは(隠されており)直接は描かれていません。何故ならば、それ(蠍)が表わす「腐敗」作用が極めて秘密の過程であるためです。彼の戦車の下には静かで澱んだ湖の水があり、その上には雨が激しく降っています。

このカードの全体的な象徴は非常に複雑なものとなっています。何故ならば、「天蠍宮」は十二宮の中で最も神秘的であり、そして鷲によって象徴されている「天蠍宮」の明示された部分は、彼の性質の部分としては最も重要度の低いものだからです。

このカードに象徴される人(男性)の精神的特性は、鋭敏、秘めた激しさ、技巧です。彼は極端に秘密的であり、彼の行うあらゆる手段は達人的だと言えます。彼は表面的には穏やかで、冷静なように見えますが、しかし、これは最も強烈な熱情に対する仮面です。彼は外部からの影響を受け易い面を持ちますが、彼はそれらを自分の秘密の企てに有利なように変質させるためにそれらを受け入れているに過ぎません。彼は、このように、通常の意味においての良心と言ったものが完全になく、それ故に彼の仲間達からは、大概、疑われます。彼ら(仲間)は彼を理解せず、更に決して理解出来ないと思っています。このように彼は不合理な不安を招きます。彼は実際に完全に冷酷であると言えます。彼が強く関心を抱くのは力(権力)、智慧、そして自身の志です。彼は他のものには如何なる責任も感じず、そして彼の能力が非常に大きいにのもかかわらず、共同の仕事に於いて頼られる事はありません。