魔術的作業のための準備

魔術作業を行うための準備を行います。

目的の選択と召喚対象の決定

最初に目的を決めます。例えば、心的不均衡の矯正や欠けている部分の補完(意識化)、タリズマンの製作、魔術道具の聖別、眷属や悪魔を呼び出し命令するなどです。そして、その目的に適した召喚対象となる神を選びます。(初心者の場合はなるべく像のはっきりとしている神格の中から選ぶようにした方が良いでしょう。)

この時、初心者の内は高次の神格を選ばないようにしましょう()。より高次の力を目的とする時はより高い神格を召喚する事になるのですが…高次神格の召喚はそれに見合った意識水準が必要となりますので、恐らく、初心者にとっては無謀且つ危険であると考えられます。最初は低次神格の召喚を繰り返し行なうようにするのが無難と言えるでしょう。

( 器(自分)に収まりきらない神格の召喚を意図的に行うと言う事もありますが、基本的には(作業に不慣れな初心者の段階では)そのような事は避けるべき事かと思います。)

目的を決める際には「瞑想」などによって目的を掴むのも良いかと思います。

神の研究と瞑想

自分が求める神(神格)についての性質、特徴、イメージ、「象徴」などの様々な知識、情報を確りと研究、理解しておき、更にその神に関しての瞑想も十分に行なっておくようにします。呪文を作る際や召喚の時の視覚化に役に立ちます(と言うよりないと出来ません)。

呪文を作る

召喚したい神を呼ぶための呪文が常に分かる(先人が用意してくれている)とは限りません。その場合、そして出来る事ならば、呪文は自分で作るようにしましょう。

召喚のための呪文として良くある形(雛形)を一例として書くと…その神(神格)を召喚する事を宣言するところから始め、神の様々な特徴を並べ、それを称えて行き、神が自らを語るところから徐々に自身と神との同一性を主張し、神が降りて来る事を強く願い、最後に霊への訓令を付け加える…と言ったようなものになるでしょうか(勿論、この形の通りでなくとも構いません)。

呪文は神を良く研究してイメージを十分に描けるようになってから作るようにします。余り難しく考えずに自分の言葉で作って行くと良いでしょう。

時間の選定

作業に適した時間は「月の相」「惑星の格式」「惑星時間」を考慮して決めます。

「月の相」では、一般的に魔術を行なうのは月が満ちて行く期間が良いとされています。

「惑星の格式」では、目的の照応する惑星が「興」「盛」となる期間、或はその惑星が「興」「盛」となる宮に「太陽」がある期間が良いとされています。

「惑星時間」では、目的の照応する惑星が支配している時間が向いているとされています。

この「惑星時間」については然程気にしなくても良いかと思いますが、「月の相」、それに次いで「惑星の格式」ぐらいは重視した方が良いかも知れません。

この他にタットワの潮を考慮に入れても構いませんが、個人的には気にする程のものではないように感じます。

(これらは厳守しなければ魔術が出来なくなると言うものではありませんので、どれをどの程度まで重視するかは個人の判断に任せても構わないものと思われます。但し、初心者の内はこれらを出来る限り守った方が良いと言えるでしょう。)

(個人的な事を言うと殆どの場合は「月の相」ぐらいしか気にしていません。「惑星の格式」については「重視した方が良いかも知れません」と書いたものの、自分自身では場合によっては見て見ぬ振りする事もありますので(殆ど気にしません)…こちらに関しては人に言えた事ではありません…。 しかし、初心者は学ぶ事が大切なので、最初から省くのではなく、 重視した方が無難だろうと思います。「惑星時間」も同様です。)

場と道具の用意

次に魔術のための場所、道具を用意します。

魔術のための場所の用意

場所は静かで儀式の最中に邪魔の入らないところが良いでしょう。

魔術を行なう場所は部屋などであれば魔術専用にするのが最善です。

部屋の大きさは円陣と三角形が配置出来る以上の大きさでなければなりません。

新たに魔術専用の部屋を作る場合は一度部屋の全てのものを外へと運び出し、場に対して「祓い」を行なってから必要な道具だけを運び入れるようにします。

魔術道具の用意

「魔術道具」に関しては最初から全ての道具を揃えると言うのは大変でしょうから、取り敢えず、「魔術の杖」「魔術の剣」「祭壇」「四大元素武器」「聖水」「聖油」「香と香炉」「ランプ」「蝋燭」「祭服(ローブ)」ぐらいを用意するようにし、それ以外の道具については後から足して行くと言ったようにしても構わないと思います。

使用する道具には全て「聖別」を施しておき、以後は魔術専用のものとします。

実践のための場の設定

ここからは当日の準備です。

儀式魔術を行う前に、そのための場の設定を行ないます。

方角を確りと確認し、「四大旗」や「エノキアンタブレット」があればそれらを配置し、目的に照応する色、星型、名前、記号など()を持たせた「魔法円」を設置します。

祭壇を設置し、その上に「四大武器」「聖水」「聖油」など…儀礼に必要になると思われるものを配置します。

「香」もまた目的に照応するものを用意します()。

これ以外にも照応する「象徴物」を出来る範囲で用意するようにします()。

全体的な注意ですが、場を設定する際には「場の均衡」に気を配るようにします。

(万物照応表抜粋」を参照してください。)

身体の準備

儀式魔術を行う前に、それを行なうための身体的な準備を行ないます。

儀式を行う数時間前からは食事、性行為を絶つようにし、沈黙を行ないます。

実践予定の1時間~30分程度前には沐浴を行い、塗油し、「祭服(ローブ)」を身に着けておきます。


全ての準備を終えたら召喚作業へと移ります。

― NOTE ―

ここでは召喚の呪文に関して術者自身が作る事で話を進めましたが、これには2つの理由があります。

一つは呪文が分からない時のために自分で作れるようになっておく必要があるためです。

召喚しようにも召喚対象の神を呼ぶための呪文が分からないと言う場合もあるかと思います。魔術師はそう言った場合にも自分で対処する事が出来るようになっておかなければなりません。呪文が分からなければ(諦めるのではなく)自分で何とかする、自分で作ると言うのが魔術師のあるべき態度です(必要であれば自分で何とかするのが魔術師です)。最初の内は既存の呪文に頼っても良いとは思いますが、どのような神格にも対応出来るように呪文作りは出来るようになっておくべきところだと言えます。

もう一つは、呪文を作ると言う作業(過程も含み)が魔術師として重要であるためです。

自分で呪文を作るためには神に対しての深い研究と理解()を必要とします。召喚対象の神の事を研究し(これは既存の呪文を使うにしても不足がないように必要であれば事前に行うものではありますが)、その神の事を考えながら自分で作った呪文は、(既存の呪文を何となく唱えるよりは)その人にとっては非常に効果のある呪文になり得るだろうと思います。そう言った面からも(自分で作った方が良いと言える事からも)、呪文は自分で作る事が出来るようになっておきたいところです。

( この召喚対象への深い研究と理解は、呪文を作るためだけではなく、召喚作業の時の視覚化などのためにも行なっておくべき重要な事です。)

カウンター
^