魔術的作業の前準備

魔術的作業の第一の作業は、入浴と着替えです。術者は魔術的作業に入る前に入浴を行い身を「清め」、その後、衣服を身につけ、その衣服の「聖別」を行わなければなりません。身の「清め」は「入浴の礼拝」によって行われ、衣服の「聖別」は「衣服(法衣)の恵みの礼拝」によって行われます。これは魔術的作業を行うその日毎に最初に行うようにします。あらゆる魔術的作業の前準備だと思って下さい。(ここで言う「あらゆる魔術的作業」とは召喚作業だけではなく、「魔術道具」の製作や「聖別」、「魔法円」の製作などと言った作業も含まれます。)

身体を清める

水で体を洗えるような場所へ行き、着ている衣服を脱ぎ、それから次の「入浴の礼拝」を行います。これは術者に対しての「祓い」です。これに使用する水には少量の塩を混ぜても構いません。

THE ADORATION AT THE BATH(入浴の礼拝)

綺麗な水で体を洗い、そして以下の呪文を唱えます。

"汝、hyssop(ヒソップ)を以て我を浄化したまえ、おお、主よ ! そして我は清められるであろう。 汝、我を洗い流したまえ、そして我は雪よりも白くなるであろう。"

衣服を聖別する

「入浴の礼拝」を終えた後、次にある「衣服(法衣)の恵みの礼拝」を行います。これは、衣服を「聖別」するためのものです。ここで身に着ける衣服とは、「入浴の礼拝」の際に脱いだ衣服(つまり今まで着ていた服、普段着)とは別の、儀式や作業に使用するそれ用の衣服の事を指します。

THE ADORATION AT THE INDUING OF THE VESTMENTS(衣服(法衣)の恵みの礼拝)

ローブなどの衣服を身に纏い、以下の呪文を唱えます。

"この聖なる衣の神秘性によって、我は、最も崇高なる者、ANCOR 、AMACOR 、AMIDES 、THEODONIAS 、ANITOR の力を帯びた救い(救済、救世)の鎧を纏うであろう。 我の望んだ結果が汝の力を通し齎されるように、おお、ADONAI ! 汝らに、永遠の称賛と感謝を捧ぐ ! Amen ! "

NOTE ― 1

召喚儀式時の衣服については『アルマデル奥義書』内では特に指定はありません。ですが、出来るならば「ローブ」を身に着けた方が良いでしょう。

NOTE ― 2

『アルマデル奥義書』では作業を行なう予定日までの間(期間は不明)、以下のように過ごす事を課しています。

  • 常に清らかにあれ(性的禁欲)
  • 純潔(上と同じ)と断食、熱心な祈り、願い(希望)を持って過ごせ
  • 神に逆らう人間であってはならない

これらを一言で言えば…敬虔な人であれ…と言う事です。これは作業前だけではなく、作業後について(理想を言うとその後の人生に於いて)もそうあるべき事となります。

しかし、このような事(断食、禁欲、日々の祈りなどについて)は現代に於いては(即ち、(そう言ったものを必要とせずに術を実行出来る)現代の魔術師にとっては)必須条件とまでは言えません。(断食、禁欲、祈りの日々を過ごせば、それによって作られた心的状態、身体的状態が魔術的作業の際に役に立つ要素として働くと言う事も確かにあるにはありますが。)大抵、ある程度省略しても構わないとされていますので(もっと言えばなくても構いません)、出来る人が出来る範囲で(各自の判断で)試みれば良いのではないかと思います。

因みに、2つ目の項目では、術者に神から与えられた霊感による誓約を求めており、それに適した「祈り(Oratio)」として以下のものが紹介されています。

"主への畏れは知恵の始まりである。 [ Abraham(アブラハム) ] が信じ、そして彼が正義と数える、一にして三位一体である [ Israel ] の神の名に於いて。 アーメン。 主が我々に働き掛けない限り、働く彼らの努力は無駄になる。 深淵の内から私は主に叫ぶ、主よ我が祈りを聞け。 我が嘆願の声に耳を傾けよ。"

NOTE ― 3

他には、自身の誓いがどのような方法で行われたか理解する事や、自身の出生の日を用心深く観察する事が挙げられています。そして、同箇所には以下の注意事項が書かれています。

  • その年に12箇月ではないか(12箇月あったか)?
  • 各一箇月の内に1時間もないか(1時間あったか)?
  • この時間を過ごしていないか(過ごしたか如何か)?

これは…漠然としていて何の事であるか分かりません…。本文では、この後、「NOTE ― 2」のリストの2つ目の項目である「純潔と断食、熱心な祈り、願い(希望)を持って過ごせ」の内容に相当する文が続いています。ここでのリストの3つの項目が、自身の誓いに関係するものなのか、それとも自身の出生の日に関係するものなのか、両方に対してのものなのか、それすら分からないのですが、前者だとすると、誓いがどのように(どの程度)行われているかに対する点検項目だと言えそうです。そして、後者だとすると…この曖昧さでは何の事を言っているのか良く分かりません…。もし、この3つの項目が全て前者に対するものだとすると、出生日に関しては、何の助言もなく、それはそれで何かしらを気にしろと言う事でしょうか…。(もしかすると、行う術に適さない時間が、期間中、どの程度あったかを観察しろと言う事かも知れません。それならば後者に関する項目であるとも考えられますが、やはり、前者にしても、後者にしてもはっきりとはしません。)

個人的にはこの項目は気にしなくて良いと思います。誓いがどの程度行われたかについてのものだとしても、出生の日に対してのものだとしても、誓いの頻度は個人の判断で良いと思いますし、出生の日に関しては気にするにしても何を気にすれば良いのか、(幾つかの候補は想像出来るにしても)ここからでははっきりとは分かりませんので。

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