後書き

今回は全くと言って良い程に時間がとれなかったため、原文(英文)を訳す際に殆どの箇所が斜め読みとなって仕舞いました…()。そのため翻訳内容がより一層に怪しくなっているものと思われます。また、編集作業についても駆け足で行なったため、全体的に作りが甘かったり、不確かさや間違いなどを含む箇所が多々残っていたりするものと思われます。これらは時間があれば手直しして行きたいと思っています。

( 紹介に当たり殆ど取り扱わなかった本の序盤と終盤とについては(即ち、「タリズマン」「指輪」について以外の箇所については)、取るに足らない物語的部分と、実行不可能と思われる黒い雌鳥を得るため方法についてなどであったため、速読でも大きな支障を来たす事はないだろうと思い、特にその傾向が強くなって仕舞いました…。)

時間がなかったと言う事以外に、『黒い雌鳥』の多くの部分が会話形式によって成り立っていると言う事も製作過程に幾分かの困難を齎しました。単に物語を読んで行くだけであれば会話形式であっても一向に構わないのですが、それを1つの文章に分かり易く纏めるとなると(会話をそのまま使う訳にも行きませんし…)如何やら文章力のない人間にとっては多くの苦労を伴う作業となるようです。(会話調であっても、例えば、老人が息子に対し淡々と説明するだけの場面などであれば、その時の言葉が殆どそのまま使えるため苦労も少ないのですが、会話の中に誰かとの遣り取りや誰かの行動が入って来るなどすると、それを纏めるための難度が少し高くなるように感じました。)良い勉強になったと思います。

今回の紹介で割愛した黒い雌鳥を得るための方法について書くと…これは「タリズマン」と「指輪」とを用いた魔術と並んでこの本の中での「売り物」なのですが、先にも書いたように実用性の低さからここでは扱いを省きました。役に立てるのが難しいと思われるものを訳してまで紹介する事には抵抗があったためです。それでも興味があると言う方は自分で訳を起こすなどすると良いかと思います。(勿論、この雌鳥に関する(現実味の極端に薄いと思われる)一連の話を全て心的なもの(出来事)として解釈して行く事も出来るかと思います。実際に自分が解釈を試みた訳ではないので何とも言えないところなのですが…物質的には現実味が薄く、現代では全く役に立たないように見えるそのような話であっても、心的なものとして扱う事によって有用なものへと変化すると言った事は考えられる事ですので、心的なものとしての解釈を行って見る価値はあるかも知れません。(飽く迄も全ては可能性の話であり、結果として無駄に終わる事もあり得ますが…。)しかし、これ関してはこれ以上踏み込まずに可能性の示唆だけに留めておきたいと思います。ここは実践面を主として紹介して行くところですので…。興味のある方は御自分で…と言う事になるでしょう。)

この『黒い雌鳥』は、個人的な評価で言うと決して高いものありません。(「A.E.ウェイト」はこの書を非常に高く評価していたようですが…。それも彼が単に魔術書好きだったからのようにも思えます…。)その『黒い雌鳥』の紹介を行なおうと思うに至ったのは、以前に行なったアンケートの中での人気が思ったよりも高かった事と、その結果を受けて、興味を持っている人が多くいるのであればと思った事とによります。アンケートに答えて下さった方へのお礼と言う訳ではないのですが、『黒い雌鳥』について知りたいと望んでいる方々のお役に立てれば幸いかと思います。

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