魔術と魔法

今回は(も?)如何でも良い話、個人的に思うところの話です。「魔術」「魔法」と言う言葉の使い分けについて書いて行きます。

「魔術」「魔法」はどちらも [ Magic ] の訳語として使われる言葉なのですが、個人的には実践的な [ Magic ] を指す言葉としては「魔術」を、夢の世界の中で起こる [ Magic ] については「魔法」を使うようにしています。(因みに、人の目を晦ますだけの「Magic(マジック)」は「手品」、または「奇術」と呼んでいます。)

これには自分なりの勝手な理由が2つあります。1つは実践的な [ Magic ] に対して「魔法」と言う言葉を使う事を嫌ったため、もう1つはその逆で、実践的な [ Magic ] の訳語としては「魔法」よりも「魔術」の方がより好ましいと感じるためです。

実践的な [ Magic ] に対して「魔法」と言う言葉を嫌ったのは、ファンタジーの中の [ Magic ] を指す言葉として「魔術」よりも「魔法」の方が一般的()であるように思われるためと、「不思議な事」「現実的ではない事」「楽で便利な事」を示すための代名詞としての性格を「魔術」よりも「魔法」の方が(一般の人達の中には)強くあるように感じられるためです。

( 統計を取ったものではないので自分の中の一般像と言う事になります。自身の経験に基づく一般像ですが、思い込みの部分もあるかも知れません。以降の「一般」も全て同じです。)

一般的な人達は恐らく「魔法」も「魔術」も殆ど同じものとして捉えている方が多いのではないかと思われます。しかし、同じものだと思いながらも「不思議な事」「現実的ではない事」「楽で便利な事」を表す場合に多く用いているのは「魔術」ではなく「魔法」の方であるようです。

例えば「魔法」と言う言葉は…「まるで魔法みたい」「魔法じゃないんだから、そんな事はありえない」「魔法でも使わない限りは無理だろう」「元気の出る魔法の言葉」…などと言った使われ方をします。そして、恐らくこれらの言葉を耳にした人間は相手の伝えたいところの意味を一瞬にして捉える事が出来るのではないかと思います。

しかし、これを「魔法」の代わりに「魔術」を使い…「まるで魔術みたい」「魔術じゃないんだから、そんな事はありえない」「魔術でも使わない限りは無理だろう」「元気の出る魔術の言葉」…と表現すると、普段、「魔法」も「魔術」も然程違いのない言葉だと思っていながらも、一瞬、違和感があるのではないでしょうか。(このような言葉の使い方に幾分か不自然さや違和感があるのは、それが耳慣れない(即ち、一般的ではない)表現であると言う事に加え、(普段は両語の違いを特に意識する事なく漠然と同じようなものだと思っていながらも)実際には無意識的に両語の語嚢に差異を持たせていてると言う事もあるのではないかと想像します。無意識的に持たせている語嚢の差異を何となく感じ、それが違和感に繫がっているのではないかと…。)

このような事から、「不思議な事」「現実的ではない事」「楽で便利な事」を現す言葉としては「魔術」よりも「魔法」の方がより一般的であると感じます。そして、そのような中で実践的な [ Magic ] に対して「魔法」と言う言葉を使えば、それは相手の内側で自動的に「不思議」「非現実的」「不可能な事」「馬鹿げた事」などのイメージと強く結び付いて仕舞うのではないかと思っています。そう言ったものと勝手に結び付いて仕舞う事を嫌い、実践的な [ Magic ] に対しては「魔法」と言う言葉を使わないようにしています。一般の人達を相手にする場合は特にそうだと言えます。

2つ目ですが、実践的な [ Magic ] に対して「魔法」よりも「魔術」の方が個人的に好ましいと感じるのは、「魔術」の方がより「人間の行う技(技術)」と言った意味合いを感じるからです。

一般的な使い方と照らし合わせても実践的な [ Magic ] を現す言葉としては「魔術」の方が適しているのではないかと思います。一般での「魔術」と言う言葉の使い方を見ると、例えば、高い技術を持った人を現すのに「○○の魔術師」と言う表現をよく見掛けるのですが、そこには「魔法」とは違い、「不思議」「非現実的」「不可能な事」「馬鹿げた事」と言った意味合いは、多くの場合、含まれていません。(逆に高い技術を持った人を現すのに「○○の魔法使い」と言う言葉は中々聞きません。そう表現する事には違和感があるのではないでしょうか。)このような一般的な使い方を見ても、実践的な [ Magic ] を表現する言葉としては「魔術」と言う言葉の方が適しているように思います。一般の人達まで意識して使う事を考えると、少しでも「不思議」「非現実的」「不可能な事」「馬鹿げた事」と言ったイメージを付き難くしたいところですので。(逆に「魔法」と言う言葉は(一般的には)それらと直結して仕舞うようなので、そちらは避けたいところです。)

纏め。「人間の行う技(技術)」であると言う事に重点を置き、更に一般的な使い方(一般の人達への伝わり方)を含めて考えると、「魔法」ではなく「魔術」の方が適していると思うのでそれを使うようにしている…と言う事でした。

因みに、体系的学問的実践的で高等な目標を持つ(高次の自己との接触、自己実現などを目標に持つ) [ Magic ] を示す場合には「高等魔術」と言う言葉を使うようにしています。殆どの場合はそれを略し、単に「魔術」と呼んでいます。

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