魔術関連の書籍

・777の書 Illustrated 777 Revised(amazon.co.jp)

A・クロウリー 著 : フランシス・キング監修 : 江口之隆 訳

『777(DCCLXXVII)』の増補改訂版である『777 Revised』の日本語訳本です。

底本に対し「カバラ教理」が付録として加えられ、更に数多くの図版が付け加えられた形となっています。それ故に同書の名も「図解777増補改訂版」と改められています。

この本は万物照応表とそれら照応物に関しての注釈を纏めたものです。カバラ系を含む魔術を行なう人にとっては万物照応についての知識は必須のものとなりますので、「777」系の本は必ず入手しておくようにしましょう。

『777の書』には新装版となった『新装版 777の書(amazon.co.jp)』が出ています。(タイトルにある [ amazon.co.jp ] のリンク先も新装版へのものに変更しました。)

・ヴェールを脱いだカバラ(amazon.co.jp)

S・L・マグレガー・メイザース 著(翻訳) : 判田格 訳

「S・L・メイザース」が「Kabbala Denudata(ラテン語)」から英訳を行なった「The Kabbalah Unveiled」の日本語訳本です。

この「ヴェールを脱いだカバラ」は「光輝の書(ZHR, Zohar)(Splendour)」の中の「SPhRA DTzNIOVThA(Siphra Dtzenioutha)(Book of Concealed Mystery)」「ADRA RBA QDIShA(Idra Rabba Qadisha)(Greater Holy Assembly)」「ADRA ZVTA QDIShA(Idra Zuta Qadisha)(Lesser Holy Assembly)」の3つの部分訳に、「メイザースによる序文(訳では序説)」「索引(訳ではさくいん)」を加えたものとなっています。また、妻モイナの「はしがき」「マグレガーメイザースストーリー~英国の魔法騎士~」、更には「邦訳者解説」が付けられています。

「光輝の書」は幾つもの巻からなる書であり、それぞれの巻は書かれた年代に違いがあります。それらの年代を特定するのは難しいのですが、最も古い部分は13世紀のもの(「SPhRA DTzNIOVThA」)だと言われています。「光輝の書」には「ヴェールを脱いだカバラ」で扱っている先述の3つの巻以外にも「ROIA MHIMNA(Raaja mehemna)(忠実な羊飼い)」「ThIQVNI ZHR(Tik(k)une Zohar)(ゾハール補説)」「ZHR ChDSh(Zohar Hadash)(新ゾハール)」…などの巻があります。「ヴェールを脱いだカバラ」で扱われている先述の3つの巻は、これらの中でも特に重要な書であり、その中に取り上げられたのでしょう。

この本はカバラについて何も知らないままで行き成り読むのと言うのではなく、簡単なカバラの解説本を1、2冊読んでから手を出した方が良いように思います。

・黄金の夜明け魔法大系 1 黄金の夜明け魔術全書 上(amazon.co.jp)

イスラエル・リガルディ 編 : 江口之隆 訳 : 秋端勉 責任編集

リガルディの『The Golden Dawn』の日本語訳本です。「黄金の夜明け団系」の魔術に関する文書を纏めたものであり、全四巻となっています。日本語訳本では二巻ずつ纏められて上下巻に分けられています。

この上巻には第一巻、第二巻が集録されています。

第一巻では主に初歩的な知識が扱われています。初心者が得ておくべき多くの知識が纏められてます。長い前書きが付いています。

第二巻では「黄金の夜明け団」の団内で行っていた儀式様式が纏められています。これは初心者には取り組み難いものなのですが(個人で行うには規模も、内容も、人数的にも難しい)、読んで知識として得ておく価値はあるかと思います。(本質を理解すれば、工夫をして個人での実践に適応させる事も出来るかと思います。そのためには(「黄金の夜明け団」の)魔術(体系)への理解を深める必要があり、初心者の段階では厳しく、後の事となるかと思います。

「黄金の夜明け団」の魔術(体系)をそのままなぞりたいと言う人は勿論、その魔術体系に興味があり、学びたいと言う人にも必読必携の書です。

「黄金の夜明け団」の魔術体系は、魔術を学び、実践する上では非常に(便利で)有益なものです。「黄金の夜明け団」の魔術をそのままなぞる積りはないと言う人でも、基盤としては便利ですので学ぶ事に損はありませんし、取り入れるものは取り入れ、自分の道を進む上での基盤の一つとするのも良いかと思います。その際、全てを知ってから(それをなぞるだけの魔術師に留まらず)自分の道を進むと言うのもあるかと思いますし(先人にも色々見られます)、全てとまでは言わなくとも、(重要なものや使い勝手の良さそうなものを中心に)ある程度学んだら貰うものは貰って先に進むと言うのもあるかと思います。どちらにしても魔術を学びたいと言う人にとっては必読の書です。これは下巻も同じです。

・黄金の夜明け魔法大系 2 黄金の夜明け魔術全書 下(amazon.co.jp)

イスラエル・リガルディ 編 : 江口之隆 訳 : 秋端勉 責任編集

リガルディの『The Golden Dawn』の日本語訳本です。「黄金の夜明け団」系の魔術に関する文書を纏めたものであり、全四巻となっています。日本語訳本では二巻ずつ纏められて上下巻に分けられています。この下巻には第三巻、第四巻が集録されています。上巻と同じく、「黄金の夜明け団」の魔術をそのままなぞりたいと言う人は勿論、そこまででなくても「黄金の夜明け団」の魔術体系に興味があると言う人にも、必読必携の書です。上巻よりも厚く、かなりの分厚さです。

第三巻では儀式に必要となる儀礼、魔術武器の具体的な作り方、その聖別の仕方、儀式のために必要な知識、喚起、タリズマンの聖別など、初心者にとっても重要なものが多く含まれている内容となっています。(実践面では初心者にとってはやや難しい内容となっているのですが、初期の段階で必要な部分だけでも学んだり、出来る範囲で工夫して(例えば簡略化するなどして)実践したりするなど使いようはあります。)

第四巻では『タロット』、「エノキアン魔術」に多くのページが使われています。大きく扱われているのはそれぐらいなのですが、それ以外のところにも早い段階から学んでおいた方が良い知識が含まれています。個人的に重視せずに切り捨て気味の「タットワ」や土占(書内では地占)も扱われています。(『タロット』は普通のタロット占術を行いたいのであれば初心者入門用の書籍を読んだ方が良いと思います。ただ、魔術を学ぶ一環としても、通常の占いを行うにしても、必要な知識は多く得られるものにはなっています。)巻末には「訳者解説」が付いています。これも巻末解説にしては多めにページが使われています。

「黄金の夜明け団」の魔術(体系)をそのままなぞりたいと言う人は勿論、その魔術体系に興味があり、学びたいと言う人にも必読必携の書です。

・黄金の夜明け魔法大系 4 召喚魔術(amazon.co.jp)

イスラエル・リガルディ 著 : 日浦幸雄 訳 : 秋端 勉 責任編集

リガルディの『Ceremonial Magic』の日本語訳本です。「物見の塔の儀礼」や「生まれ無き者の儀礼」について書かれています。これらは儀式魔術を構成する基礎的な儀礼であり、儀式魔術を行なう段階に入れば自ずと必要になって来るものです。巻末には為になる解説が付いています。

本書は中級者向けに書かれているとの事ですが、実際にはある程度の知識があれば初心者であっても十分に付いて行ける内容であるかと思います。

・現代魔術大系 5 高等エノク魔術実践教本(amazon.co.jp)

ジェラード・シューラー 著 : 岬健司 訳 : 秋端勉 監修

『An Advanced Guide to Enochian Magick』の日本語訳本です。(「Magic」ではなく、クロウリー流に「Magick」となっています。)

エノク魔術に関しての基礎から実践までが、クロウリーなどの言葉を掲載しつつ、紹介されています。

魔術原理、エノキアンアルファベット、エノキアンタブレット、魔術武器、エノク魔術様式の基礎的儀礼、性魔術、エノク魔術の式文、30のアエティールについて、魔方陣、実践的なエノク魔術など…この一冊で十分にエノク魔術に触れる事の出来る内容です。

かなり実践的な内容の本です。エノク魔術の実践に興味のある方にはお薦めです。

・現代魔術大系 6 QBL ―カバラの花嫁―(amazon.co.jp)

フラター・エイカド 著 : 松田和也 訳 : 秋端勉 監修

『Q.B.L. or The Bride's Reception』の日本語訳本です。10章から成る本編と2つの補遺によって構成されています。巻末には訳者のあとがきと監修者の解説が付いています。

本編ではカバラ、生命の樹について一通りの知識が簡単に紹介されています。中には『法の書』についての記述や同書からの引用なども見られますが、全体的には(クロウリー色は当然あるものの)初心者向きの内容であると言えます。

補遺の1つ目はヘブライ(ヘブル)語に関する短い付け加えとなっています。

補遺の2つ目は「生命の樹」の「小径」と、『タロット』の配属とに関する考察となっており、配属を再構築して行く過程が10節に渡って纏まりなく書き連ねられています。

(本編ではお手本をなぞるかのように大人しく書き進めていた「Fr・エイカド」ですが、この補遺ではそこから大きく逸脱し、独自の考えを自由に巡らせています。こちらはカバラの基本に慣れ親しんだ方にとっては大きな違和感がある内容となっているのではないかと思います。)

この書はカバラの入門書としては余りお薦め出来ません。

本編はカバラの基本的な部分について綴られたものですが、初心者に必要十分な知識を与えようして書かれた類のものではありませんし、カバラの基本書を既に一冊でも読んだ事があると言うのであれば、恐らく、その殆どは既知の内容となっているものと思います。

また、補遺は正統的なカバラをこれから学ぼうと考えている方にとっては悪影響を及ぼす毒ともなり兼ねないものであると言えるかと思います。

やはりこの書は他者に対して是非にと勧めるようなものではないと感じます。但し、補遺に関して言えば、「Fr・エイカド」に興味のある方や、基本を学んだ上で異説についても知っておきたいと言う方には有益な資料になるのではないかと思います。

・高等魔術実践マニュアル(絶版)

朝松健 著

基礎理論、基礎訓練、基礎知識、実践方法と…魔術に必要な一通りのものが非常に簡単に分かり易い形で紹介されています。これを読めば魔術入門前者の方も魔術が身近なものに感じられる事でしょう。

実践編では『アルマデル奥義書』の大天使の「タリズマン」についてや、我々には余り馴染みのない土占術についても扱われています。

巻頭には直ぐに使える「タリズマン」やタットワ瞑想カードが付いています。

初心者に必要な要素が初歩から実践まで良く纏まっています。現在は絶版となっていますが、ネットオークションに出て来る頻度は高く、比較的手に入り易いのではないかと思います。

・柘榴の園(amazon.co.jp)

イスラエル・リガルディ 著 : 片山章久 訳

リガルディの『A Garden of Pomegranates』の日本語訳本です。

カバラに関する基本的な事が紹介されています。

こちらはダイアン・フォーチュンの「神秘のカバラー」とは違い、「10のセフィラ」についてだけでなく(極簡単にですが)「22の小径」についても書かれています。

また、文字カバラ(「ゲマトリア」「ノタリコン」「テムラー」)、更には実践的カバラについても書かれています。

附録として「心の治療の技術」と「魔術の技法」とが加えられています。どちらの附録も初心者にとっては有益な内容となっています。

この書は、「10のセフィラ」と「22の小径」とについては書かれているものの、その内容は非常に浅く、『777』があれば事が足りるようにさえ感じられます。その分、読み易いとも言えるのですが…。ただ、初心者の方にとっては良きカバラの入門書となるでしょう。

「世界魔法大全」の第三巻として刊行されていましたが、現在では新装版がそれとは別に出ています。(タイトルにある [ amazon.co.jp ] のリンクも新装版へのものです。)

・実践カバラ―自己探求の旅(amazon.co.jp)

大沼忠弘 著

カバラの実践面と肉体に関してを主として扱った初心者向けの書籍です。

内容は「I 実践カバラ入門」と「II 身体へ」の二部から成ります。

冒頭には手紙形式で書かれた「魔法アストラル・ライトの科学技術(序に代えて)」が序文として、巻末には著者による「あとがき」が付けられています。

この書のために書かれたのはこの「あとがき」部分だけであり、それ以外は他で掲載された書き物の集成となっています。

「I 実践カバラ入門」は「世界の大秘術・講話」にある「実践カバラ入門」と、同じく同書に前書きとして付けられている「大秘術思想の系譜(大秘術の基本文法)」(この書では「密議の基本文法―はじめに」)とを合わせたものです。生命の樹についての簡単な説明から、生命の樹を用いた修行体系、中央の柱の行法やパスワーキングなどについて書かれています。

「II 身体へ」は4つの書き物から成ります。「ソーマ 神像か牢獄か ギリシア人の肉体観素描」では古代ギリシア人の肉体観について、「神々の肉体 偶像崇拝論の試み」では物質と魂を扱った偶像崇拝に関する考察、「体を練る 私のアスケーシス体験」では著者の視力回復とそのための訓練の話、「色の段階 アストラル・ライトの色彩体験」では閃く色彩、タットワによる訓練法、カバラ的世界観などについてが語られています。

この本はカバラの使い方について書かれた初心者(実践経験が全くない人)向けのものです。カバラ思想について知りたいと言う人向けの本ではありません。これからカバラを知りたいと言う人が読む本ではなく、カバラをある程度知っている人がカバラの使い方を知るために読む本になっています。(そのため、この書を読む当たっては(実践経験はなくても良いのですが)ある程度のカバラの知識はあった方が良いと言えます。)

実践面に関しては、カバラを実践するための手始めとして読む分には良い本であるかと思います。しかし、初心者のみを対象として書かれたものであるため、それ以上を求める人には勧められません。

・神秘主義と魔術(絶版)

A・クロウリー 著 : フランシス・キング監 : 修島弘之 訳

クロウリーの『Liber ABA(IV)』の第一部である『Mysticism』と第二部である『Magick-Elemental theory-』とを一冊に纏めた日本語訳本です。

この本は(上記のように『Mysticism』『Magick-Elemental theory-』の二部を纏めたものなので当然なのですが)「神秘主義」と「魔術」との二部から構成されています。

「神秘主義」では「ヨーガ(ヨガ)」を扱い、基本的な事(「坐法(座法)」や「呼吸法」など)から「三摩地(サマディ)」についてまで順序立てられて書かれています。

「魔術」では「魔術武器」について(書きたい事を書きたいようにと言った感じで)書かれています。

「ヨーガ」(に限らず何らかの訓練)も「魔術武器」も魔術にとっては欠かせないものであり、この書はそれらに関する知識を深めるために役に立ちます。

巻末には『The Wake-World(XCV)』と『Thien Tao(XLI)』とが加えられています。

この本はクロウリーの著作の中ではかなり読み易い方だと言えます。内容も難しくありません。読むのであれば初期の段階で読む事をお勧めします。

現在は絶版となっていますが、オークションに出品されている事があります。

・神秘のカバラー(amazon.co.jp)

ダイアン・フォーチュン 著 : 大沼忠弘 訳

フォーチュンの『The Mystical Qabalah』の日本語訳本です。カバラに関する基本的な事が紹介されています。

第一部ではカバラについて、「生命の樹」について、第二部では「10のセフィラ」についてが詳しく書かれています(「22の小径」については第一部で短く触れられているだけです)。

「世界幻想文学大系」の第40巻として刊行され、現在は新装版がそれとは別に出ています。

「生命の樹」と「10のセフィラ」とについて知りたい人にお薦めです。全体的には非常に分かり易く書かれていると言えるのですが、中には心理学的観点から語られている箇所も見られますので、多少はフロイトやユングの心理学を(上辺だけでも構いませんので)学んでから読む事をお勧めします(フォーチュンはロンドン大学で心理学を修めており、魔術に対しても積極的に心理学を取り入れています)。

カバラの良き入門書であり、必読本です。

・世界の大秘術・講話(絶版)

有田忠郎・大沼忠弘・山内雅夫 共著

「実践カバラ入門(大沼忠弘著)」「占星術(山内雅夫著)」「錬金術(有田忠郎著)」の三部から成ります。冒頭には「大秘術思想の系譜(大秘術の基本文法)(大沼忠弘著)」が序文として付けられています。

第一部の「実践カバラ入門」では、「生命の樹」についての簡単な説明から入り、「生命の樹」に沿った修行過程、神殿の形成方法と必要な道具、視覚化のためのタットワを用いた行法、中央の柱の行法、「パスワーキング」などについてが簡単に纏められています。

この第一部は、全体としてはカバラを用いた修行方法(カバラの実践)の紹介となっています。カバラを使った修行に興味があると言う人は目を通しておくと良いかと思います。

但し、初心者向けとして書かれていますので(魔術の修行がどのようなものであるかを知りたいと言うだけであったり、修行を行うための手始めとして参考にすると言う分は良いかも知れませんが、)本格的に修行を行いたいと言う人にとっては少々物足りない内容であると言えるでしょう。

第二部の「占星術」では、占星術の起源から発展まで、星々と人間との関係について、惑星について、ホロスコープについてなどが書かれています。

これは「占星術」の歴史や与えて来た影響、携わった人々に関する事が主な内容であり、「占星術」を実践する事を目的として書かれた(即ち、「これを読めば占星術が出来るようになる」と言った)ものではありません。

第三部の「錬金術」では、錬金術師「ゲーベル(ジャービル)」の著作とされている『錬金法大全(Summa perfectionis magisterii)』が紹介されています。

紹介されているのは『錬金法大全』を抄訳したものを要約したものであり、訳者による解説が加えられている事もあり非常に分かり易くなっています。(実際に紹介されているのは第一の書の第一部から第四部までと、第二の書の第一部と第二部であり、第二の書の第三部は割愛されています。)

この本は現在は絶版となっていますが、オークションに出品されている事があります。

第一部の「実践カバラ入門」は「実践カバラ―自己探求の旅(大沼忠弘著)」にも載っていますので、そちらで読む事が可能です。

・世界魔術大百科(ムー別冊)(絶版)

魔術の逸話、基礎訓練、簡単な儀式魔術などが扱われています。魔術に関する様々が初心者向けに纏められた本です。『○ー』ではありますが、真面目に書かれている記事もあり、初心者が知識を増やす意味に於いてはお薦めだと言えます。

目を通す際に怪しげな記事(例えばブラックシャンバラーなど…)に対しは自己防衛を施すようにして下さい。鵜呑みが危険であるのは『○ー』に於いてはどれも同じです。ある程度の真偽の区別が付くようになってから読む方が良いかも知れません。

何だかんだ言って、結構、頑張って纏めてあります。

・変身力をよび起こす西洋魔術の本(絶版)

朝松健 著

基礎から実践まで初心者向けに書かれた本です。こちらは同著者の『高等魔術実践マニュアル』と比べると明らかに(所謂)オカルトの度合いが高い内容となっています。本の最初では魔術の基礎訓練、西洋魔術の歴史が手短に紹介されています。その後の実践篇では自己への魔術と他者への魔術と言った形で多くのページが割かれています。自己への魔術では七惑星の「魔方陣」、霊的防衛法などを、他者への魔術ではダウジング、土占術、魔女術、性魔術などを扱っています。更に、他者への魔術の最後の方では「ローブ」「魔法陣」「魔術武器」や「生まれ無き者の儀礼」についてなどが紹介されています。

現在は絶版となっています。ネットオークションで見かける事もありますが、現在では少々手に入り難い本となっているように感じます。内容自体は本格的とは言い難く、『高等魔術実践マニュアル』があるのであれば、こちらを無理をして手に入れる必要はないと思います。

・法の書(amazon.co.jp)

A・クロウリー 著 : 島弘之・植松靖夫 訳 : 江口之隆・亀井勝行 解説

クロウリーが「エイワス(Aiwass)」から授かった書、『LIBER AL vel LEGIS(The Book of the Law)(CCXX)』の日本語訳本です。クロウリーに興味があるのであれば必読書となります。

良く見掛ける有名な言葉…「(1:3)全ての男女は星である。」「(1:39)法の言葉はテレマである。」「(1:40)汝の意志するところを行なえ、これこそ法の全てとならん。」「(1:44)結果ばかりを追い求める欲動からは解放され、純粋な意志と言うものは、あらゆる点で完璧である。」「(1:57)愛こそ法なり、意志下の愛こそが。」「(1:57)ツァダイは星にあらず。」「(2:62)我は汝の心臓の中で高揚せられ、星々の接吻が汝の肉体にとめどなく降り注ぐ。」…などもこの書の中からのものです。

『Khabs am Pekht(CCC)』『De Lege Libellum(CL)』『Liber NV(XI)』『Liber HAD(DLV)』も収録されています。

『法の書』の中の記述に従ってクロウリーの英文と解説とを付けて(訳文部を)赤い(…ピンクに見える…)インクで記した形になっています。

それにしても、この売られている『法の書』の表紙は何とかならなかったものかと思います。(何とかならなかったのかと言うよりも、狙ったそうしたのでしょうけれど…。)非常に奇抜で毒々しささえ感じられるデザインになっていますし、帯には…いま禁断の書の封印が開かれる!!クロウリーが明かす悪魔の福音書…だの、1904年、地球外生命体が魔術師に与えた恐るべきメッセージ!!…だの、出版するたびに全世界に嵐を巻き起こした超弩級の危険文書…だの、猛毒を含んだ霊界危険文書!!…だのとあります。手に取るのも恥ずかしくなるような状態です。また、中を開くと赤い封(0ページの前から212ページの後までの赤い紙の封)があり、そこには…決して本書を人身供犠・黒魔術・魔女集会・悪魔召喚などに悪用しないで下さい…や、開封すると九ヵ月後に災害、大戦争、天変地異が生じても云々…などとあるのですが、見た瞬間にこちらが恥ずかしくなって仕舞うような事は止めて欲しいものです…。(帯の裏表紙側にも…必ず九ヵ月後に全世界を大戦争や大災厄が見舞う云々…とあり、具体的な戦争名などが挙げられています…。)これらはクロウリーのせいではありませんが…。折角の『法の書』がこれでは…悲しくなりました…。

『法の書』には「増補新訳」「普及版」となった『法の書 / 増補新訳・普及版(amazon.co.jp)』が新たに出ています。

・魔術 理論と実践(amazon.co.jp)

A・クロウリー 著 : 島弘之・植松靖夫・江口之隆 翻訳

クロウリーの『Liber ABA(IV)』の第三部、『Magick in Theory and Practice』の日本語訳本です。

魔術の基礎的な事柄が数多く書かれており、初心者にとっても非常に有益な本だと言えます。内容は他の初心者向けの本に比べると少々難しくなっていますが(個人的には他の人が言うほど難解であるとは感じないのですが…)、初期の段階で読んでおくべき書物であるように思います。(万人のためのものとされる同書も)クロウリー色が見られるため万人に勧めると言う訳には行きませんが、しかし、魔術師を志すのであれば目を通しておいて損はないと思います。『Liber Samekh(DCCC)』『Liber O vel Manus et Sagittae(VI)』を始めとして附録が非常に充実しています。

以前は「世界魔法大全」の第2巻として上下巻に分冊された形で刊行されていましたが、現在では新装版がそれとは別に一巻に纏められて出ています。

・魔術 理論篇(amazon.co.jp)/実践篇(amazon.co.jp)

デイヴィッド・コンウェイ 著 : 阿部秀典 訳

『Magic : an Occult Primer』の日本語訳本です。原書は一巻の本でしたが、日本語訳版では「理論篇」と「実践篇」との二冊に分けられています。

「理論篇」では魔術の基本理論について多くのページを割いています。「実践篇」では儀式魔術の準備から基本的な召喚作業の手順、「アストラル体投射」、呪符や護符についてなどが書かれています。共に余り胡散臭さを感じさせないように気遣われていますので、魔術に偏見のある方でも読み進める事が出来るのではないかと思います。

「理論篇」「実践篇」とも非常に分かり易い内容であり、変に大きな偏りもなく、これから魔術を始めようと思っている人にとっては最適の入門書であると言えるでしょう。初期の段階においての必読本です。

・魔導書 ソロモン王の鍵(amazon.co.jp)

青狼団 編著

『ソロモンの大きな鍵』と『ソロモン王の小さな鍵(ゲーティア)』にある魔術を簡略化してお手軽に実践出来るように紹介している本です。簡略化し過ぎとの声もあるようですが、要所は抑えていますし、特に『小さな鍵』の悪魔を黒鏡に幻視する方法は本家よりも余程実用的であるように感じます。『大きな鍵』『小さな鍵』は共に初心者にとっては実践するにも難しいところが多いので、恐らく、これらを紹介するに当たって(初心者を対象としている事もあって尚更)そのように工夫改善する必要があったのでしょう。

行う意味の薄い(あってもなくても構わないような)作業で水増しされていたり(特に現代人には)負担の大きい条件を突き付けて来るような魔術に対して、それを自分なりに実用性のあるものへと変える行為は決して悪い事ではありません。寧ろ、そう言った事は魔術師ならば誰もが(必要に応じて)行なうべき当然の事であるように思います。書かれている事をそのまま繰り返して行なっているだけの時代遅れの魔術師よりは遥かに増しだと言えるでしょう。この本は古びた魔術を「どう工夫をすれば良いのか」と言った場合の参考にもなります。(…これは良くも悪くも参考になると言う事であって、この書の工夫改善の仕方が特に優れていると言っている訳ではありません。既にあるものに自分なりの工夫を凝らすと言う行為や、その事に挑戦する姿勢に賛同しているだけです。)

『ゲーティア』の「魔法円」が大きな紙製のものとなって付いています。『大きな鍵』『小さな鍵』の日本語訳本が欲しいと言う人には少々的外れの本ですが、ソロモン系の魔術をお手軽に味わいたいと言う人には良いかも知れません。もう少しで「お呪い本」となって仕舞う瀬戸際のところに位置する本です。(実際に「お呪い本」の方に入れようか如何か迷いました…。)

・魔法修行 カバラの秘法伝授(amazon.co.jp)

W・E・バトラー 著 : 大沼忠弘 訳

バトラーの『Apprentice to Magic』の日本語訳本です。初心者向けの魔術的訓練について書かれています。「坐法(座法)」「呼吸法」「瞑想」「アストラル体投射」などの訓練が順序良く一から学べるように書かれています。バトラーが向こうから(手紙の遣り取り使って)話しかけて来る形になっています…。

同著者の「魔法入門」を読んだ後に読むと良いでしょう。初心者必読の書です。

・魔法入門 カバラの密儀(amazon.co.jp)

W・E・バトラー 著 : 大沼忠弘 訳

バトラーの『Magic, its Ritual, Power and Purpose』と『The Magician, his Training and Work』とを一冊に纏めた日本語訳本です。

一つ目の「魔術 その儀式、効力、目的」では魔術の本質、目的、定義や根拠などについてが比較的短く纏められています。二つ目の「魔術師 その訓練と作業」では魔術師の行なうべき訓練や作業についてが書かれています。どちらも魔術に必要となる基本的な要素を初心者向けに分かり易く紹介しています。巻末では「弛緩と呼吸の訓練」「追儺の儀式」「中央の柱の訓練」が紹介されています。(この本の中では「Magic」を「魔法」、「Magician」を「魔法使い」と訳していますが、この言い方は個人的な感覚に合わないところもあり、そのため上記の文の中ではそれらを「魔術」「魔術師」と言う言葉に置き換えています。)

この本を読んで「何らかの魔術が出来るようになる」と言う事はないのですが(元々そう言う本ではありませんので当然なのですが)、これから魔術師を目指そうと言う方には非常に有益な一冊とだと言えるでしょう。基本的には魔術に関しての知識が殆ど無くても読み進めて行く事が出来るようには書かれていますが、中には心理学的観点から説明が為されている箇所も見られますので(ダイアン・フォーチュンの弟子ですので当然と言えば当然なのですが)、心理学、特にユング心理学を(上辺程度で構いませんので)学んでから読む事をお勧めします。非常に読み易い本なのですが、それによって更に読み易くなる事と思います。初心者にとっての必読書です。

現在では新装版が出ています。

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